毎日使うものから変える:サステナブルな日用品で心地よい暮らしへ
日々の生活の中で、私たちは多くの商品を選び、消費しています。その一つ一つが、実は環境や社会に様々な影響を与えていることをご存じでしょうか。
例えば、毎日使う洗剤や歯ブラシ、キッチン用品などが、海洋プラスチック問題や水質汚染、資源の枯渇といった課題につながっていることがあります。そうした話を聞くと、「何かしたいけれど、何から始めたら良いのか分からない」「特別なことをしなければならないのでは」と感じるかもしれません。
この記事では、そうした疑問を抱える方々に向けて、日々の暮らしに身近な「日用品」に焦点を当て、サステナブルな選択肢を具体的にご紹介します。特別な知識や労力は必要ありません。今日から始められる簡単な一歩が、環境と社会、そして私たちの暮らしをより良くする変化につながります。
サステナブルな日用品を選ぶことの意義
サステナブルな日用品を選ぶことは、地球環境の保護だけでなく、私たちの生活にも様々な良い影響をもたらします。
- 環境への配慮: プラスチックごみの削減、水質汚染の軽減、地球温暖化の原因となる排出ガスの抑制など、環境負荷を低減します。
- 社会への貢献: 公平な労働条件や地域コミュニティへの支援を行うブランドを応援することにつながります。また、動物実験を行わない「クルエルティフリー」製品を選ぶことは、動物福祉への貢献です。
- 自分自身と家族の健康: 天然由来成分や肌に優しい成分で作られた製品を選ぶことで、アレルギーや肌トラブルのリスクを減らし、安心・安全な生活を送ることができます。
- 心地よい暮らしの実現: シンプルで質の良い製品は、長く愛用でき、物を大切にする意識を育みます。また、デザイン性の高いエコフレンドリーな製品も増えており、日々の暮らしを豊かに彩ります。
身近な日用品から始めるサステナブルな選択肢
それでは、具体的なサステナブルな日用品の選択肢とその選び方を見ていきましょう。
1. 洗剤・石鹸類:水環境を守る選択
私たちが毎日使う洗濯洗剤や食器用洗剤、シャンプーなどは、使用後に排水として川や海に流れていきます。これらの製品が生分解性の低い成分を含んでいると、水環境に負荷を与え、生態系に悪影響を及ぼす可能性があります。「生分解性」とは、自然界の微生物によって水や二酸化炭素などに分解され、環境に負荷をかけにくい性質のことです。
- 具体的な選択肢とブランド例:
- 生分解性の高い洗剤: ドイツ生まれの「フロッシュ(Frosch)」は、植物由来の洗浄成分を使用し、高い生分解性を持つことで知られています。また、環境と肌に配慮した製品を開発するニュージーランド発のブランド「ecostore(エコストア)」も、日本で広く利用されています。
- 固形石鹸・固形シャンプー: パッケージプラスチックを減らすために、液体洗剤やシャンプーの代わりに固形タイプを選ぶ方法もあります。イギリスの「LUSH(ラッシュ)」のシャンプーバーは、多種多様な香りや効果を持つ製品が揃い、気軽に試しやすい選択肢です。
- 選び方のポイント:
- 製品パッケージに「生分解性」や「植物由来成分」の表記があるかを確認しましょう。
- できる限り、合成香料や着色料、石油系界面活性剤など、不要な添加物の少ない製品を選びましょう。
- 詰め替え用パックを利用したり、量り売りサービス(一部店舗やオンラインストアで提供)を活用したりすることで、プラスチックごみの削減に貢献できます。
2. 消耗品・使い捨て品:プラスチックフリーへの挑戦
キッチンペーパーやラップ、歯ブラシ、スポンジなど、一度使ったら捨てる消耗品も、見直すことでごみ削減に大きく貢献できます。特にプラスチック製品は、自然に還らず環境に長く残るため、代替品を選ぶことが重要です。
- 具体的な選択肢とブランド例:
- 繰り返し使えるラップ: 「蜜蝋ラップ(Bee's Wrapなど)」は、洗って繰り返し使える天然素材のラップです。食品の保存だけでなく、お弁当を包む際にも活用できます。シリコン製のラップも繰り返し使える選択肢の一つです。
- バンブー(竹)製の歯ブラシ: プラスチック製の歯ブラシの代わりに、柄が竹でできた歯ブラシが普及しています。「テラ・プラナー」などのブランドから、デザイン性の高い製品が販売されており、使用後は柄の部分を土に還すことができます。
- 天然素材のスポンジ・たわし: プラスチック製のスポンジの代わりに、ヘチマやセルロース(植物性繊維)から作られたスポンジを選ぶことができます。これらは天然素材のため、使用後は土に還すことが可能です。
- 選び方のポイント:
- 「生分解性」「コンポスト可能(堆肥化可能)」といった表示のある製品を探しましょう。
- プラスチックフリー、またはプラスチックの使用量が極力抑えられている製品を選びましょう。
- 一度にたくさん購入するのではなく、まずは一つから試して、使い心地を確かめることが大切です。
3. パーソナルケア製品:肌にも環境にも優しい選択
化粧品やボディケア製品も、成分や製造過程に配慮した選択肢が増えています。肌に直接触れるものだからこそ、安心できる製品を選びたいものです。
- 具体的な選択肢とブランド例:
- オーガニック認証化粧品: 「WELEDA(ヴェレダ)」や「Dr.Hauschka(ドクターハウシュカ)」など、世界的なオーガニック認証基準を満たした製品は、厳しい審査を経て作られており、安心して使用できます。天然由来成分を中心に作られ、肌への刺激が少ないものが多くあります。
- クルエルティフリー(動物実験なし)製品: 製品開発において動物実験を行わない方針を掲げているブランドの製品を選ぶことも、サステナブルな消費行動の一つです。製品パッケージにウサギのマークなどで表示されていることがあります。
- プラスチックフリーパッケージ: 固形シャンプーや石鹸だけでなく、アルミやガラスなどのリサイクルしやすい素材を使ったパッケージの製品を選ぶことも有効です。
- 選び方のポイント:
- 国際的なオーガニック認証マーク(例: COSMOS ORGANIC, USDA ORGANIC)があるかを確認しましょう。
- 動物実験の有無を示す「クルエルティフリー」の表示があるかを確認しましょう。
- 香料や着色料など、気になる成分の含有量をチェックし、可能な限りシンプルな成分構成の製品を選びましょう。
サステナブルな日用品を日常生活に取り入れる簡単なステップ
「良いのは分かったけれど、どこで買えるの?」「どうやって選べばいいの?」という疑問を持つかもしれません。実践はとてもシンプルです。
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まずは一つから試してみましょう: 現在使っている日用品の中で、一番替えやすそうなものを選んでみてください。例えば、歯ブラシをバンブー製に変えてみる、食器用洗剤を生分解性のものに変えてみるなど、小さな一歩からで構いません。
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パッケージの表示を確認する習慣をつけましょう: お店で商品を選ぶ際、裏面表示や商品説明を少しだけ気にかけてみてください。「植物由来成分」「生分解性」「オーガニック認証」「プラスチックフリー」「クルエルティフリー」といったキーワードを見つけるヒントになります。
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購入できる場所を探してみましょう:
- オンラインストア: 「Amazon」や「楽天市場」といった大手ECサイト内にも、サステナブル製品に特化したカテゴリやショップがあります。「ecostore」や「LUSH」のように、自社のオンラインストアを展開しているブランドも多いです。
- 専門店・セレクトショップ: 「東急ハンズ」や「ロフト」などの生活雑貨店、またはオーガニック製品を取り扱う専門店では、実際に製品を見て選ぶことができます。
- 一部のスーパーマーケットやドラッグストア: 最近では、一般のスーパーやドラッグストアでも、環境配慮型の商品やオーガニック製品が少しずつ増えています。
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詰め替えや量り売りを積極的に活用しましょう: プラスチックごみ削減のためには、製品本体を購入するよりも、詰め替え用を利用したり、量り売りサービスのあるお店でマイボトルを持参したりすることが有効です。近くにそうしたサービスがあるか調べてみるのも良いでしょう。
まとめ:小さな選択が、未来を変える力に
サステナブルな日用品を選ぶことは、決して難しいことではありません。日々の暮らしの中で、私たちが何を選び、どのように消費するのか。その小さな選択の一つ一つが、環境や社会、そして私たち自身の未来をより良い方向へと導く大きな力になります。
完璧を目指す必要はありません。今日から一つ、何かを変えてみること。それが、持続可能な社会を築くための大切な一歩となるでしょう。心地よいと感じるサステナブルな選択肢を、ぜひ日々の生活に取り入れてみてください。